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概要

研究支援センター

Takanori Nakamura中村 崇規九州大学医学研究院教育・研究支援センター実務担当責任者 教育・研究支援センターを立ち上げてから、無事に10年目を迎えることができました。この支援センター(Core Facility)の立ち上げ話の発端は、35年ほど前に当時生化学第一講座(医化学)の教授であった関口睦夫先生との会話でした。「各講座(分野)は頑張って予算を獲得し高額な機器を購入設置するが、教授の退官と交代に伴い新しい機器が導入され、壊れてもいない高額機器が使用されずに埋もれたり、廃棄されたりするのはもったいないこと」でした。また、「高額機器の導入予算を獲得できる講座はそう多くない上、運よく導入できても利用者はその研究室の人に限られている。このような機器を一カ所に集めて共同利用できる環境が整えば、研究成果が上がり、研究の質も向上するであろう」。この話は何度か先生達の間では話題に上ったようですが、実現には至りませんでした。 それから25年が経ち、センター立ち上げのチャンスが訪れました。医学部の基礎研究A棟の全面改修が行われることになり、共通利用の保存室が作られることになったのです。当時医化学教室(前生化学第一)の准教授であった和田守正先生に「医学部内の研究室であまり使われずに埋もれている高額機器を基礎研究A棟の共通利用室に集めて、広く研究者に開放してみてはどうだろうか?」と提案をしてみたところ、それが当時の生化学教授の竹重公一朗先生に伝わり、機器の集中管理システムと分子生物学的な基礎的実験技術を指導する場(この部分は後日談にでた)として立ち上げる話が進み出しました。 丁度この時期に、設立の中心的存在として活躍されることとなる医化学の横溝教授が赴任され、当時の医学研究委員長(高柳涼一先生)のもとCore Facilityの前身としての支援センターが医学部の基礎研究A棟2階に設置される事になりました。 当初は事務室・分子生物学実験室・生体動態解析室1と2の4室のみでしたので、各部屋に機器を機能別に設置することができませんでした。また、あまりにもスペースがないため、事務室を2つに仕切り奥の狭いところで受託を行っておりました。受託といえば、この時期に受託におけるRNAの抽出方法やシーケンス解析の条件検討を再三行い苦労しましたが、この時決めた条件で今でも良好な結果が得られています。現在では2部屋増設されましたが、うれしいことに利用者も機器もそれ以上に増加しており、さらなるスペースの拡充が望まれるところです。 設置機器としては大型の高額機器の共焦点レーザー顕微鏡や細胞を分離解析できるセルソーターが導入されたことが大きな出来事でした。また、折よく基礎生物研究所から機器に精通した技術専門職員の高見重美さんが赴任し、センタースタッフの技術力も十分すぎるほどに向上し、念願であったスタッフによる機器操作を含めた講習体制が整いました。 今振り返ってみると、九州大学(医学部)内にCore Facility としてのセンター設立は、和田先生、横溝先生、竹重先生、高柳先生、医学部の各教授の後押しがあって初めて本格的に動き始め、ご協力ご尽力のおかげで実現することができたのだと感謝しております。また、実行部隊としてのセンター職員メンバーが必要な場所に必要な人材として集まり、各々の特異的な能力を発揮してくれたことで、現在の教育・研究支援センターとしての働きができるようになりました。皆様の協力なくしては、今の支援センターを成し得ることはできなかったでしょう。 また支援センターは年間利用者数がのべ17,000人に達し、設置機器の数も予想以上に増えた事、特に一番びっくりしているのは利用成果によるAcknowledgmentsと共著の英文論文数が200報に達した事です。 現在の教育・研究支援センターは、初期の目的である研究支援施設としての機器利用(利用法の指導を含む)だけでなく、研究の基礎的な支援(基礎的な実験技術指導や実験相談を含む)も十分に行っており、九州大学における研究支援施設「Core Facility」(技術支援を含む)としての役割及びその機能は、充分に果たしていると考えます。10年の歩み長崎国際大学薬学部薬学科教授 和田先生